「わたしのヒゲが切れない!」機嫌が悪く理不尽な相手とのインタビューで最初にすること

機嫌の悪い人、理不尽な人とのインタビュー

不機嫌や理不尽から始まるインタビューというものがたまにある。

口を開く前、そもそも会って互いに第一印象を確かめるより前、たとえばインタビューが行われる部屋に入ってくるときからすでに、明らかに不機嫌な人というのがいる。本当にいる。

理由はさまざま。スケジュールを秘書に聞いていなかったり、直近の嫌な思いを引きずっていたり、過去に取材やインタビューで嫌な思いをしたことがあるけれど、仕方なく受けようとする場合(取材者やインタビュアーという人種を信用していない)だったり。

どれもこちらの知ったことではないが、こういう場面に出くわした時に

「絶対に笑わせる!」

「この不機嫌とインタビュー後の落差を楽しむ」

ことにプロ根性を感じている時期があった。

両腕を前に組んだ看板を軒先に置いて「いらっしゃいませこの野郎」と言ってるような店はこちらから願い下げたいもの。

そもそも腕を組んだプロフィール写真、あれは苦手。店や会社代表の写真がそういう写真の場合、人となりを察するひとつの判断材料にもしている。

しかし、理不尽を乗り越えなければならない時もある。

どうしてもそこでしか食べられないラーメンとか。豚野郎と罵られながらでも食べたい。

(桜新町にある某店は、罵られるどころか、強面で通っている大将がたまに遠慮がちに優しく声をかけてくれる。)

でもほとんどは、食べなければ飢え死にする時。(嫌だと思う仕事を続けるのは、ほとんどこれですよね)。

どちらの理由にせよ「続けなければならない」と考えた時の自分の場合、どうしていたか?

呼応、感情の同期、承認、情報提供、開示と提案

それは、相手の状況を承認すること。

アイスブレイクと呼ばれる会話手法がある。

徐々に緊張を溶かしていくために、本題とは違う内容の話から、核心に近づいていく手法。

無難な話題、共通の話題、周辺から真ん中に入っていくように説いている本もある。

自分の場合、理不尽な人にに対するアイスブレイクは、直球で「なぜ不機嫌なのか」を聞き、それに対する承認をまず行うこと。

ソフトな理不尽の例をひとつ。

え?何聞いてないよ。あーわかった。【着席】で、今日はなんだっけ?忙しいからチャチャっとね。

これに必要なことは、相手をちゃんと見て(インタビューはすでにはじまっている)、情報を得ること。

上記の例の場合、

・直前まで知らなかった。

・とりあえずインタビューを受けないといけないと思っている。

・あんまり期待していない。

が読み取れる。

これに対する承認方法として

  • 呼応する
  • 感情の同期
  • 適切な情報の提供
  • 自己開示
  • 未来への提案

を行なう。

これを実施した例として、

「直前まで知らなかったですか?実は「ほんとのはなし」という本と本当をかけたテーマのインタビューです。本音を聞いて読んで面白いと思ってもらえるインタビューにしたいので、まずは今の状況も本音で話してもらえますか?自分の本音はビビりました」。

自分の状況の出し具合、もしくはもっと簡潔に煩わしいですか?と聞くか否かは、勇気と状況の判断で。大丈夫。インタビュー中に死んだやつはいない。インタビュー後に死んだやつは知らないけど。

自分の場合、PCやメモをしながらではできないので、ICレコーダーと自作のインタビューシート以外、何も持たない。取材よりではなく純粋なインタビューで、かつ聡明な頭脳があれば、その両方すら要らない。

ただこの種のアイスブレイクは、すでに何度も仕事として取材やインタビューを受けている人にとっては、煩わしいものだったりするので、別の注意が必要。火に油を注ぐことにもなります。相手を見る、怖がらない。何をしたいか、自分も相手も何に怖がっているかを知ること。

記事リンク:出鼻をくじかれた時orアイスブレイクしようとしたらこちらがブレイクされて凍った時

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まだ、続きます。

おまけ:承認は役に立つ。90歳ヒゲクレームおばあちゃんの事例

この手法(心構え)は、コンビニでアルバイトしていた大学生の頃、ヒゲのことでクレームをつけていたおばあちゃんとのやり取りが元になっています。

2007年、北九州市某所のコンビニ。

「あんたんとこのこのカミソリね!私のヒゲが切れんのよ!」

「これ作っとる人出しなさい!」

と、入店早々(というより叫びながら)クレームのおばあちゃん。

90歳を過ぎていそうなおばあちゃんの口元には確かに、白い「ヒゲ」が。

うちは家内制手工業(マニファクチュア)じゃないんだけど…

と、心の中でツッコミつつ、こう提案した。

(鼻毛カッターの説明書の顔が自分すぎて驚いたことがある。)

  • 「え!ヒゲが切れないですって!?(相手と同じ声量で)」(感情の同期)
  • 「切れないと煩わしいですよね。ちなみにどこのヒゲですか?(呼応)
  • ああ自分も髭が濃くて(開示。もちろん本当のことを)
  • 自分も使っているこれなんかどうですか?綺麗に切れますよ。だけど切れすぎるから注意してくださいね。(提供と提案)

謝ってどんどん逆上されるパターンの場合、大抵上記のどれかが欠けています。

このおばあちゃん、次に来店した時はカミソリ全部買い占められて、それから毎朝の朝食に100円の卵焼きとか、歯がなくても食べられる「やわらかいもの」を選定し、カゴに入れてあげる係に任命されました。係と孫って、字が似てますね。まだ元気かな。

おまけ2:自分への承認を疎かにして、理不尽に潰されそうになった

実際に会ってみて、素晴らしい活動を手掛けたり、多くのファンがいるポジティブな事前情報とは真逆の人はいます。

実は周りの人がすごい苦労していたりするのですが(反対にすごい人なのに、窓口となる秘書やお付きが不遜な態度という、残念なものもある)。

そういった人間の片棒を担ぐのが嫌になった時期があって、その場ではインタビューの時間を楽しくできても、どんなにいい笑顔が撮れてたとしても、書きたくない理由も告げられずそのままお蔵入りになってしまったことがある。

その場ではごまかせても、原稿を書く気がしない。理不尽を乗り越えてでも書こうという気になれない。

相手の承認はしても、自分の気持ちへの承認がおざなりになっていた。でもこれでは相手に伝わらないし、稚拙だし、自分も理不尽となる。

理不尽さをの乗り越えることが見つけられない段階で、素直に正直にお断りできればこうした問題が発生することもないのかもしれないが、

理不尽を乗り越えられる理由というのは、インタビューの途中や、書いていく中で見つけられる時もある。これがインタビューの醍醐味であったりもする。

もしくは時間が、経つことによって書くことができたりもする。

そうした側面も含めて、インタビューという行為は、話をしてあげる立場、聞かせてもらう立場だけではなく、話を聞いてもらう立場、聞いてあげる立場にもなる、相互に影響を与えあう行為なのだと思うのです。