見田宗介さん(社会学者、東大名誉教授)「想像力の振り幅を広げる」インタビュー

伊豆の「隠れ家」で続ける思索

見田宗介氏: 僕は伊豆半島の南端の方に隠れ家があって、だいたいそこで年に半分以上閉じこもって、ときどき用事があると出てくるという感じです。ボロ小屋ですけれども、周りは非常にいい場所で、そこに蔵書を半分ぐらい持ってきているんです。量はそんなに多くないけれど、いる可能性がある本を持ってきています。それを電子化すればもっと楽かもしれません。そうすると、ますます東京にいなくなるかもしれませんね(笑)。

そういうことで、どちらが良いということじゃなくて選択肢、見晴らしを示すことが重要です。それからどっちへ行くかというのは人それぞれの好みもあるんです。僕自身もわがままな人間だから、人から強制されて「こうだ」と言われるのはいやだから、自由に選べる選択肢を広げるというのがいいと思うんですね。

今、関心を持っているのはふたつあるんですけれど、ひとつは現代社会はどこへ向かうかということ、もうひとつは未来社会論なんですね。このふたつはつながっている問題なんです。ちょっと乱暴な言い方をしますけれども、近代社会というのはそろそろもう終わりに近づいている。このまま行ったら資源的にいっても環境的にいっても人類はもたないので、何十年か先は破たんすると思います。そうすると、やっぱり持続可能な幸福な社会の展望が開けないとだめなわけですね。要するに、永続し得る非常に幸福な社会というもののイメージを確定しようとしています。

今度の『定本』で言うと、第1巻の名前は『現代社会の理論』になっていますが、その終わりの「現代社会はどこに向かうか」という部分で、ベースとなるものをコンパクトにまとめています。それから第7巻が『未来展望の社会学』というもので、未来の人間の見晴らしを述べたんですね。そのあたりのことをもとにして、もうちょっと具体的に展開してみたいと、この2、3年ぐらい思っています。

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