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広島とロサンゼルスの青

夕方の18時過ぎても、外が明るい今の季節。

1日がたくさん楽しめるような、少し得をした気持ちになる。

むかし住んでいた鹿児島は東京に比べて日が長い。

冬場は昼過ぎたらすぐに夕方がやってきそうなのは、東京生活における玉にキズ。海と空も遠く感じる。

青空の下、マスクなしで思い切り外気を吸い込める散歩が恋しい。

「陰鬱になりようがない」と表現されたLロサンゼルスの晴れ渡る空の青さは気持ちいい。そこから生まれる作品と関連づけて、むかし誰かが文章で書いていた。

そして、その青さを、自分はどこかで味わったことがあることを思い出した。

生まれてから9歳まで広島市で育った。

住んでいた場所は高台の団地で、裏山があって、そこから見える景色は、今でも大好きな風景の一つ。

公園の砂場からは、太陽に照らされきらきらと輝く水面と、行き交う船、そして遠くに続く島々が見える。

広島とロサンゼルスの気候区分は、瀬戸内海式気候と地中海性気候。

広島とロサンゼルスの空の青さは似ている。

『南加州日本人史』(1956年、南加日系人商工会議所発行)によると、1918年当時のロサンゼルスの日系人は、広島の出身者が一番多かったらしい。

一世の人たちは、遠く離れたロサンジェルスの空を見て何を思っただろうか。