(沖中幸太郎 /東京エクスプレス編集人)
活躍している人に共通する「iのチカラ」って何?
各界の第一人者とのインタビューを通じて、活躍している人が持つ、ある共通点を見つけました。
それは、みなさん「インタビュー力」をお持ちだということ。
インタビュアーの職能とされる
「見る、問う、聴く、まとめる」
これらは、取材の場面だけではなく、あらゆるビジネスシーンに通じると言われています。
アーティストも、学者も、経営者も。みなそれぞれの道で「なぜ?」を問い立て、自分が感じた違和感を深掘りし、編集し、形にしていく。活躍している方は、すべからくこのインタビュー力の使い手でした。
私はそれを、interviewの頭文字をとって「iのチカラ™️」と名付けました。
また「iのチカラ™️」には、
interview Xを探る insight 洞察 inclusion包含
intuition直感 improvisation 即興 intelligence知性
imagination想像 interest興味 imitation模倣
など、iで始まるさまざまな能力も含まれています。
第一人者の多くが駆使する、もしくは必要とされる「iの力」と、インタビューを通して出会った、実際にそれを活かしている人の仕事をまとめました。
1.目の前の違和感「X」を探る(interview)
多くの人が抱くインタビュー=取材のイメージ。ただ、聞きたいことを聞くのと、相手の話したいことを聴くのは似て非なるものです。もちろんインタビュースキルを用いた取材は可能です。
職業:記者、ライター
2.対人観察力
面接は英語でインタビュー。どんな人材を採るべきか、否か。インタビュアーの優れた対人観察力と質問で、採るべき人材、そして採ってはいけない人材(ここ重要)を見分けます。
職業:面接官、人事担当、諜報員、探偵
3.課題解決力
ものづくりにおいて、「見る」「聴く」ことの重要性を説いたインタビュー記事があります。
熊谷昌典さん(バット職人)「もうひとりの野球選手、バット職人誕生秘話」インタビュー
野本公敬さん(和竿師、旭信四代目)「覚悟は磨かれるもの」インタビュー
職業:職人
4.課題発見力
インタビュー(観察すること)の対象は人だけではありません。空間に対しても、「なぜ?」を問い立て、足りないもの・もっとあった方がいいもの・要らないものを編集し形にしていきます。
職業:環境建築家、ランドスケープアーキテクチャー
5.傾聴能力
インタビューはtoではなくwith。話し手と聴き手、双方向性を持つものです。相手の話したいことに、一緒に思い出す姿勢で臨むことができます。
職業:カウンセラー、傾聴者
6.俯瞰力と対応力
多様な意見が集まる場所での、均等な発言機会の割り振り、不公平のないまとめ。『王様のブランチ』でみられた、ゲストへの絶妙なタイミングでの切り返しが光る鈴木あきえさんは、最高のインタビュアーのひとりだと思っています。
職業:交渉人、司会者、モデレーター、プロデューサー、ディレクター
7.洞察力
ホームズ「きみも、見てはいるのだが、観察をしないのだよ。見るのと観察するのではすっかりちがう。
たとえば、きみも、玄関からこの部屋へあがる階段は、なんども見ているだろう?」
ワトソン「見ているよ」
ホームズ「なんどぐらい見たかね」
ワトソン「そうだな、ほぼ数百回は見ているだろう」
ホームズ「では、なん段ある?」
ワトソン「なん段だって!知らないよ」
ホームズ「そら、見たまえ。観察しないからだ。しかも見るだけは見ているのだ。ぼくがいいたいのはそこなんだよ。
いいかい、ぼくは十七段あると知っている。それは見ると同時に観察しているからだ。」
(創元推理文庫版『シャーロックホームズの冒険』/ボヘミアの醜聞』p12-13阿部知二訳より)
職業:シャーロックホームズ
8.iの力
各界の第一人者はみな「iの力」を持っている
「iの力」とは、interviewの力。人・コト・モノを目の前にして「なぜ?」を問う、違和感の正体=Xを探る力は、常に何かが生まれるきっかけとなっています。
「iの力」には、下記のような意味も含められます。
insight 洞察 inclusion 包含 improvisation 即興性
intelligence知性 imagine想像 interest興味 imitate模倣
インタビュースキルはインタビュアーだけのものではありません。
その業界における第一人者は最高のインタビュアーでもあります。
ここに挙げた仕事以外でも「iの力」は必要不可欠で、それぞれの技能にプラスして、より仕事を前に進めることができます。
職業:すべての仕事
イラスト:tech-pic.com