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夏川賀央さん(作家)「面白いを発掘し、つなげ、ひろげていく」インタビュー

「成功する人脈は公私混同で成り立っている」――各分野の異才たちを発掘し、その “非組織プロジェクト”ネットワーク『賢者の会(公私混同の会)』を主宰する、作家の夏川賀央さん。人材を発掘し、つなげる情熱の源とは。挑戦を続ける夏川さんの想いを伺ってきました。
こんな話をしています……
「現代の発掘」の面白さは、今生きている目の前の人と繋がっていくことができる臨場感
「楽しい」が理由でいいし、失敗したら「上手くいかなかったね。次は何をしようか」でいい
せっかくのチャンスを自らで判定した能力で、断ってしまってはもったいない
夏川賀央(なつかわ・がお)氏プロフィール
1968年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。 大手出版社など数社を経て独立。会社経営のかたわら、作家として活躍中。人材プロデューサーとして各分野の異才たちを発掘し、ネットワークを通じた“非組織プロジェクト”で多くのビジネスをしかけ、成功させている。舞台裏での活躍が主だが、プロデュース、ペンネームなどでビジネス、自己啓発に多数の著書を送り込んでいる。 著書に『すごい会社のすごい考え方』(講談社)、『なぜ、仕事ができる人は残業をしないのか?』(SBクリエイティブ)、訳書に『武士道』(致知出版社)などがある。

考古学的“発掘”の情熱

――Webサイトに大きく書かれた賀央会『公私混同の会』とは。

夏川賀央氏: 全国の「デキる人」同志が集い交流する、アヤシくない集団です(笑)。今は「賢者の会」の名前でやっています。著書の『成功しちゃう「人脈」はじつは公私混同ばかり』(Nanaブックス)を、たまたま読んでくれた静岡在住のビジネスプロデューサーの方が共感してくれ、わざわざ会いに来てくれたことがきっかけで始まりました。そのご縁がつながり、教育事業のお手伝いとして、こどもたちに読書感想文の指導をしたり、「作家養成講座」をしたりしました。ここで出会ったこどもたちが、将来「書く」仕事に進んでくれたらと思うと嬉しいですよね。

普段は、書くことがメインで、ライティングやそのプロデュースをしています。電子書籍の会社は立ち上げて今、4年目になります。僕と、コンサルタントをやっている営業の人間と、あとはデザイナーの3人で組んでいるのですが、それぞれフリーで仕事をしている感じです。まだ世に出ていない書き手を発掘して、電子書籍でひとつの形を作って、そこから「本」につなげたいという想いでやっています。コンサルタントは、20代から知っている記者の勉強会で会った友人で、デザイナーの女性は「公私混同の会」にいた方です。

――「つながり」で仕事を。

夏川賀央氏: つなぎ、つなげられるという感じでしょうか。小さい頃から古代史にロマンをかき立てられていて、学生時代は現代に埋もれた「面白さ」を発掘できる考古学をと、早稲田で学んでいました。エジプトが好きで、発掘調査にもよく行っていて、そのまま研究者になるつもりでいました。ところが場所や時代を限定して突き詰めていくことに、だんだんと面白さを見いだせなくなり、その先のコースがつまらなく思えてきました。そしてふと、自分は今の世の中のことを何も知らないと気づき、アカデミズムの世界から社会に飛び出すことにしました。

その行き先に出版社を選んだのは、手っ取り早く世の中を知るには、それが一番かなと考えた結果でした (笑)。大手出版社は、私のような畑違いは無理だと思い、最初は歴史本や市町村史などを作成する小さな会社に入りました。変わった会社で、仕事は地味だし(笑)、悩んだ時期もありましたが、そこが僕の出版人生の始まりだったんです。

企画勝負の本づくり

夏川賀央氏: その後、数社を渡り歩く中で、途中の「無職」の期間も含め、売れている本について研究を重ねました。「企画書を必ず1日ひとつ作る!」というのを習慣にしていた時期もありましたね。売れる本は、著者の知名度、内容の善し悪し(もちろん両方を兼ね備えている場合もあります)が主な要素になっています。編集者として、人間の面白さを感じていた僕は、著者の知名度ではなく純粋に企画で売れる本を作りたいとずっと思っていました。本に書けるネタというのは、誰でも持っているので、それを上手く引き出し、求めている方につなげていく。そういった広がりを作ること自体が面白いと思っているので、それを仕事にしようと独立し、今にいたります。

――編集者という職業を通して、発掘の面白さを見いだしていった。

夏川賀央氏: 「現代の発掘」の面白さは、今生きている目の前の人と繋がっていくことができる臨場感でしょうか。その中で編集者の果たす役割は、映画監督のように、しっかりと舵をとり、全体を指揮し、明確な作品のイメージを作ることにあると思います。その想いや志こそが、良い本、面白い本、届く本を作っていくのだと感じています。

――夏川さん自身も書き手として、多くの本を世の中に届けています。

夏川賀央氏: 僕は、知識ではなく、生きる術や頑張り方を伝えたいと思っています。例えば『奮い立たせてくれる科学者の言葉90』(きこ書房)でも、「科学」自体ではなく、科学者たちの生き様を伝えたいと、彼らの言葉に焦点を当てて書きました。やはり編集者思考で、自分の伝えたい想いは事象自体ではなく、その対象は問いません。様々な世界の「面白さ」を届けたいという想いで書いています。

編集者、また書き手として昨今「本が読まれなくなった」と言われていることに関しては、危機感を持っています。状況が変化する中で、嘆いてばかりでは何も変わらないどころか、どんどん縮小していきます。寺子屋時代から続く日本の教育文化を衰退させないためにも、新たなチャレンジをしなければいけません。今やっている電子書籍事業も、そうした出版業界に風穴を空けたいという新たなチャレンジとして始めました。

「できること」から行動を変えていく

――チャレンジを重ねられます。

夏川賀央氏: 生きていれば、悩みや迷いも生まれます。何かしらのアクションが必要になってきますが、その時実際に行動するかどうかで結果は変わるのです。だから、「悩むならまず動け」を自分自身にも課しています。最初から大きなことをする必要はありません。できることから動いていくという連続で、自分が変わったり、悩みが解消されたり、壁を越えられるのだと思います。僕は公私混同と言っていますが、「楽しい」が理由でいいし、失敗したら「上手くいかなかったね。次は何をしようか」でいいのです。勉強会に来て、「こんなことを考えています」と言ってもらうだけで、何かが始まるかもしれない。変わるというのは、実は簡単なことなのです。

その連続でチャンスが巡ってくるわけですが、その時に「自分なんかまだまだ」とは思わないでほしいですね。せっかくのチャンスを自らで判定した能力で、断ってしまってはもったいない。次の機会がいつあるか分からないのです。僕も本を書いた時に、「このレベルの著者がビジネス書を書くなんて信じられない」とさんざん言われましたが(笑)、だったら今の自分のレベルで書けることはいったいどんなことなのかとか、読者をどうやって喜ばすのかをしっかりと考えればいいのです。それでもダメだった時は、意識を入れ替え、次の新しいことを始めていけばいいのだと思います。 今はSNSなどの発達で、今までよりさらに「つながり」が容易になっています。ひとりひとりのチャレンジや試みは拡散され、きっとどこかで繋がっていきます。僕自身もこれを出版業界のチャンスと捉え、まだ見ぬ面白い人をどんどん見つけて、今まで以上につなげていきたいですね。