鹿児島で毎日ブラックに楽しく残業働いていた頃のこと。
めずらしく日付が変わる前に仕事が終わったので、「ご褒美にチーズバーガーを食べよう!」と思い、一路マクドナルドへ。ところが2009年当時の鹿児島のマックは、天文館という中心部のアーケード街にあっても11時には閉店していました。
店の前でチーズバーガーが食べれないと大人気なく嘆いていると、店の前に同じようにうなだれる外国人二人組が。
聞くと、彼らもチーズバーガーを食べ損ねた、わけではなく、店で一夜を明かして翌朝イチの屋久島行きフェリーに乗ろうと思っていたらしいのです。こんな日本の端っこの田舎で閉店後のマックを前に外国人二人が困っている。このままだまって別れる道理はありません。
「今日はうちへ泊まろう」
話してみると、二人は兄弟でフランス出身。名前はヴァンサン(兄)とトーマ(弟)。兄の方が建築の勉強で福岡に住んでいて、弟がフランスから訪ねてきて九州を旅行中とのこと。
地獄に仏の表情(フランスだから神?)で、話しているうちに盛り上がってお酒を飲むことに。
「フランス人ならやっぱりワインでしょ」と、短絡的かつ強引な発想で、家に着く前にコンビニに寄りました。
短絡的だったけれど、実際、ふたりの祖父は、ワイン農場をやってるとのこと。それみたことか。
コンビニの限られたラインナップからおいしそうなワインを選んでもらい、家について早速、鹿児島日仏交流会。
フランス語はできなかったので、フランスのコメディ映画『奇人たちの晩餐会』をBGMにセットしました。
ちょうど、彼らも好きな映画だったようで、ぼくは字幕で笑い、かれらも大笑いしているうちに、何瓶かあったワインが空っぽに。
それぞれの将来の夢を語りながら、いつの間にか眠ってしまいました。
翌朝。こんな書き置きが。
「いつか世界のどこかで」
再会の際は、そのときの話を肴に美味しいワインを飲みたいと思います。