好きなことに情熱を傾けてもいい 可能性を活かせる社会にするための新たな挑戦
――周りの熱意に推され、決断を。
梅原氏:結局、ぼくのすべての動機ときっかけは「人」でした。対戦の様子をまわりで眺めて喜んでくれたゲームセンターの友人たちもそうですし、ストリートファイターの新作に誘ってくれた友人もそう。彼の言葉がなかったら、再びコントローラーを握ることもなかったと思います。動画を見て応援してくれる人、 レッドブル、Twitch (ツイッチ)、HyperX(ハイパーエックス)などのスポンサーや、熱い言葉で後押ししてくれ、今はマネジメントしてくれているCooperstownなど、社会的な道を開いてくれた人たち。
今まで、いろいろな方がサポートしてくれたおかげで今のぼくがいる。まだまだやりたいことはたくさんあるから、「もう何にもいりません」とは言わないけど、少なくとも「自分だけ」はもうお腹いっぱい。
――一人勝ちはしない 。
梅原氏:自分ひとりだけがいい思いをするのは、ぼくの性に合わない。自分がたまたま、プロゲーマーという道を用意してもらったから、こうやってお話ししたり、『勝負論 ウメハラの流儀』(小学館新書)や『1日ひとつだけ強くなる』(KADOKAWA/中経出版)として、書籍でもメッセージを届けたりすることもできているわけです。なので、多くの人に活かされてきた自分の役割もまた、「人を活かす」ことだと思っています。
「勉強ができる、足が速い」以外にも、世の中にはもっとたくさんの価値観があるんじゃないか。「今」という時間軸だけで、自分の特技を社会に活かすことを諦める必要はないんじゃないか。そうしたメッセージを、プレイや講演活動などを通して発信することが、プロゲーマーである自分の、「今」一番の感心ごとであり、戦いであり、進み続ける原動力になっています。